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卵リュックー革だからできるカタチー

以前、卵リュックのブログで「次は制作秘話を」とお知らせしてからだいぶ時間が経ってしまいました。

丁度秋めいて、今年もリュックを背負いたくなる季節になってきたので、改めて卵リュックの制作話をしたいと思います。


卵リュックは、NORDFELDオープン時から店頭に並ぶNORDFELDのリュック第一号です。

オープン時、店頭に並ぶまでに何度も試作を重ね試行錯誤し、それからも少しずつ微調整し手を入れながら今の形になりました。


作り始めた時のことを聞くと、

「NORDFELDの顔になるような鞄を作りたいと思っていたなー。」

そう言って、ペラペラと当時のノートを捲る北野。

「丸みがある、愛嬌がある、ずっと使える飽きのこないデザイン、クラシックでいてかわいらさもある、、、。うわー、恥ずかしいなこれ、、笑」

と苦笑しながら見せてくれたのが、このノート。端っこにリュックのイラストが。

「今見ると簡単な落書きだけど、当時はこれだ!って思ってこの絵をどんどん膨らませて形にしていった。イラストで見る平面の可愛さを、立体でどう表現したらいいか。本当に頭を抱えたなー。イラストをそのまま形にすると、のぺっとした本当につまらないものになっちゃうし。でもこのイラストの丸みや可愛らしさは出したい!っていう。」


そこでたどり着いたのが、本体に切り込みを入れて立体感を出すということ。

初めは、以前よく作っていた様に左右に切り込みを入れてみたものの「何か違うな、もっと丸みや立体感が欲しいんだよな。」と数や位置、長さと色々なものを少しずつ変え沢山試作していました。

前面の独特なふっくら感は、そうやって出来上がっていきました。


そして、欠かせないのがフラップの切り込み。

「ここの切り込みがあることで、こう流れ良く本体とのつながりが出来て卵のようなフォルムになるんだよ。」と力説。

一つ手を入れることで、ぐっとイメージに近いフォルムになっていったそうです。


そして、横からのフォルム。

「サイドは、上がキュッと詰まっていて下に向かって広がっていくデザイン。背負った時の収まりの良さを考えながら作ったよ。あとは、前面の切り込みの流れがここにも繋がるようにっていうのを一番大切にした。」

上部には、ホックボタンがついており必要な時にはガバッと大きく開く仕様です。


「フォルムが際立つ様に、金具をなるべく使いたくなくて真鍮のリベットで留めて、フラップはベルトを差し込むタイプに。」

フラップを開けると、前面がくり抜かれ開口部にはベルトがついています。

「荷物が多くても大きく開いたり、型崩れがしない様に開口部にはベルトを付けた。」

「ここのくり抜きがあることで、ものの出し入れがずっとしやすくなる。この部分も手の入れやすさと強度のバランスを考えて、くり抜く形や深さに拘ったな。」

「ほら!こう、くり抜き部分を持つと広げやすいし!使う時の動作って大切だからさ。」


そして、最後の方では

「こうやって話すと、このリュック結構考えて作ったんだなー。めちゃくちゃ時間かかったもんなー。やっぱり良いリュックだなー、革じゃなきゃできない形だよな。」

そう言って、改めて卵リュックを愛でる北野。


「俺は革が好きだから、革だから作れるものを作りたいっていつも思ってるんだけど。卵リュックは本当に革だからこその形ができたと思う。このフォルムもエイジングすることで川の石ころみたいに段々と角が取れて独特の丸みが生まれる。最初に戻るけど、使い込んだ時も、フラップの切り込みと前面の切り込みは大切で、これがあるから流れに逆らう立体感が最後まで残る。ただクタッとするだけじゃないフォルムを残しつつクタッとするようにエイジングするから。

そうなるまで、長く使ってほしい鞄だな。」


コロナ禍になる前、卵リュックを背負って10ヶ月の娘と家族3人新幹線で京都へ行きました。正直に言うと、荷物パンパンの革リュックは結構な重さで(プロトタイプは今より分厚い革を使っていた)やっぱり旅行はナイロンの軽くて容量のたっぷりあるリュックにすべきだったと、夏の暑さの中何回も思ったのだけれど。旅行中ふと見るリュックは可愛く、何度も癒された。普段背負っている時には気づかなかったけれど、パンパンに荷物を詰めてもフォルムにそこまで影響が出ないので可愛いままな事、それが中についてるベルトのおかげなんだと気づいた時。

行きたいお店に中々辿り着けず、暑い中公園の木陰で子供のマグを取り出した時。その出し入れのし易さが嬉しかった事。


店主の作る時の小さな拘り一つ一つや使う人への優しさが、長く使っていった時によりそのリュックへの愛着につながる気がします。


おしまい。

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